■キャシュレス社会の到来
既に海外ではキャッシュレス社会が当たり前になりつつあります。
日本は、そうした世界の流れからみると未だまだまだ現金中心の社会ですが、国が積極的に動き出しているので、近い将来おそらく数年後には、現金が消える時代がやってくるでしょう。
そのような社会では、今まで誰も経験したことがない経済社会が始まります。
実際に、キャッシュレス社会が最も進んでいると言われる北欧諸国の一つであるデンマークでは、2017年1月に新規の紙幣及び硬貨の造幣を廃止しました。
お金を造るには、当然製造コストもかかるし、お金が物として存在しているために銀行強盗が起ったりと色々面倒で経費もかかるので、国が作るのをやめちゃたんですね。
お隣のスウェーデンでも、お金はまだ造っているものの、現金を使用してモノを購入する決済率は昨年でわずか3%なので、ほとんどお金の流通はない状態です。
そのような社会はいったいどのような社会なんでしょうか?
スウェーデンでは、銀行の預金通帳が存在しませんし、出先のデパートなどでトイレを使用するにも有料なので、トイレの扉に取り付けられたカード決済用のリーダーにカードを通さないと利用できません。カードがなかったら大変ですね。
すべては、データはビッグデータに保管され、国民は日本で言うところのマイナンバーにインデックスされています。
これが何を意味するかは、前記事にまかせることとして、日本にもいづれ訪れるであろうこのような社会で失敗しないための方法をこれからお話したいと思います。
■学生の時から、デビットカードでキャッシュレス
そのプロセスは、まず学生時代にデビットカードを作って、キャッシュレス決済に慣れることです。
デビットカードは、カードに紐づけされた自分の口座にまずキャッシュを入金し、その範囲内でクレジットカード使用が可能になる仕組みなので、未成年者で親の承諾が必要な場合でも、特別な理由がない限りはOKをもらえると思います。
実際、キャッシュレス先進国のスウェーデンでは7歳から、デビッドカードを持つことができます。
これは、キープされている資本有りきの発想です。
残念ながら今の日本のサラリーマンの多くがお世話になっているクレジットカードの使い方の現状は、使った金額を給与で相殺するというパターンが多数を占めている感じなので、極めてリスキーなキャッシュレスだと思います。
その点、デビットカードは資本を消費してしまったら終了なので安全です。負債とは無縁ですね。
そのため、高校生でもデビットカード作成について親の承諾が得やすいと思います。
このデビットカードをうまく使いこなし、預金残高を常に意識する癖ができるようになった時点で、クレジットカードを作ることをお勧めします。
クレジットカードは、非常に多くの種類があり、カード会社は何とか自社のカードに入会してもらおうとあの手この手でセールスアピールをしてきます。
各社各様でそれぞれユニークな目玉サービスがあるので、どのカード会社にしようか目移りしてしまう場合があるかもわかりません。
また、人によってはこれはショッピング用、これは、車のガソリン専用、これは○○用にと一度に何枚ものカード申請をする方がたまに見られますが、最初は、できるだけ1枚にしておくことをお勧めします。
その理由は、クレジットカードを一度に3枚以上作成を申し込むと、借金返済のための過度な申し込みの疑いがかかり、結果的にすべて審査落ちになり、最初から1枚もクレジットカードが作れない事態を招きかねないというリスクがあるからです。
特に初めてクレジットカードを申し込む場合は、クレジット会社に申し込んだ人のデータが少なく、申し込んだ人がどのような方なのかわからない状態で、その方の立て替え払いを行う契約を検討する訳ですから、最初から何社も申し込みする必要性がある人って?と色々と審査に慎重になってしまうんですよね。
まぁ、最初は特別な事情がない限り1枚で十分だと思います。
■クレジットカードは、なぜ必要?
それでは次に、なぜクレジットカードを作るかと言うと、デビットカードとクレジットカードの唯一かつ重要な違いであるクレジットヒストリーいわゆるクレヒスを創り始めるためです。
クレジットヒストリーは、読んで字のごとくクレジットカードの使用履歴です。
カードを使用し、きちんと約束通り支払日にお金を支払うことを遅滞なく続けているか?多重債務になっていないか?
これらの情報は、常時一定期間信用機関に情報保管され、キャッシュレスサービスを提供している各企業から必要時に逐次参照されます。
すなわち、常に”あなたが信用に値する人物かどうか?”を見られているわけです。
このようにクレヒスは、キャッシュレス社会におけるあなたの信用度を示したものです。
言葉を変えて言えば、約束を守る人物かどうかを評価する社会での通信簿です。
この通信簿の成績が良ければ、キャッシュレス社会で大きな事業、購入行動など自分一人では実現できないことに関して、社会があなたを信用してその実現のためにバックアップしてくれます。
まぁ、一生、数千万レベルの自宅購入も、買わない若しくは購入する場合は、キャッシュで一括購入しかしないという債務に絶対足を突っ込まない人にはクレヒスは無縁かもしれませんが、よほどの資産家でない限りはそうはいかないと思います。
■クレジットカードの使い方
次に、クレジットカードの利用について最も重要な点なのですが、決済は1回払いを死守することです。
これは基本中の基本です。
クレジットカードのポイント率を気にする前に肝に銘じておく必要があります。
ご存知の通り、クレジットカードの支払方法には、1回払い、分割払い、ボーナス払い、リボ払いなるものがありますが、分割払い、リボ払いには高利が付きます。
だいたい年利15%前後のものが多いです。
例えば、クレジット枠が30万円で20万円のものを月2万円の年利15%のリボ払いにしたとすると、完済までにおよそ2年弱かかるケースが多いです。
ということで、20万円の商品が結果的に22万円くらいで購入することになってしまう場合がよくあります。
また、同じリボ払いでも月々の支払自体をすべてリボ払い設定にした場合、かなりの注意が必要です。
残債が少なくなると返済額も当初2万円だったものが返済が進むにつれて1万円、5千円と減額される設定がされていることが多く、企業側もより多くの利子を獲得することを考えています。
最悪のケースは、月々のリボ返済をした後、使用可能額が増えた途端、次の消費を行ってしまうパターンです。
これでは、クレジットカードの使用金額に関わらず月次の請求金額は一定なので、きっちり使用金額を管理していないと知らず知らずのうちにクレジット枠まで消費が進み、一向に残債が減らないステージに入ってしまいます。
これがいわゆるリボ地獄です。
■まとめ
キャシュレス社会は、適切なキャシュレスサービスの利用により、その恩恵を受けることができます。
そのためには、学生の時からデビットカードで管理癖を付け、キャシュマネージメント力を高め、十分安定したキャシュレス運用ができるようになった時点で、クレジットカードを作り、限度枠の20%クライで毎月回していくスタイル(クレジットカードは1回払いを死守)の継続が良いクレジットヒストリーを作り上げていくコツだと思います。
ここまでお話しした考え方は、筆者のこれまでの失敗体験も踏まえたものです。リボ地獄に陥らないためにもクレジットカードのようなキャッシュレス決済のリテラシーを段階を経て高めていただけたらと願います。