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■日本がキャッシュレス決済を急ぐ理由とは?
日本がキャッシュレス決済を急ぐ理由は、表面的には欧米先進国と比較して普及率が半分くらいのところに甘んじている現状を打破したい(2020年の東京オリンピック開催により、海外からの観光客のキャッシュレス決済に対応する準備)、現金の取り扱いに関する運用及び管理コストを削減したいというところだと思います。
勿論、これらの理由もあるとは思いますが、国にとってもっと重要な訳が見え隠れするように感じます。それは、ずばり税金です。
新しくなった税金申告の方法 ー e-Tax
今年の3月に確定申告に行ってきたのですが、その時に例年になくe-taxと呼ばれるネット上で確定申告等ができるシステムの活用啓発をやっていました。
今後は、税務署に出向いて確定申告をするのではなく、インターネットに接続できる端末があれば、個人で自由に申告できることが主流になるようです。
これは、便利!!です。
これまでもインターネットを利用して自宅から確定申告をすることは、自宅に申告者のマイナンバーカードとインターネットに接続できるパソコン、カードリーダーがあればできましたが新しい動きとして、マイナンバーカードとカードリーダーなしでe-Taxを利用して確定申告することが2019年からできるように進められています。
これは、当初、財務省は、マイナンバーカードが国民全体に普及すれば、このカードに紐づけして税務処理が漏れなく実施できると考えていたところ、このマイナンバーカードを作る国民の数が思いのほか増加しないため、別路線で急遽考えたのだと思います。
まぁ、日本では、パスポートや運転免許証を持っている場合、これが身分証明書になるので、今更、マイナンバーカードを作ると身分証明書になりますよと言われても、国民の皆さんからすれば、あまり作るメリットが感じられなかったということでしょうか。
それでも私は、確定申告をする際にマイナンバーカードがあれば、わざわざ税務署に出向く必要がなくなり、自宅のパソコンから申告できると税務署の方から聞いたので、今回、役所に行って作ってきました。
残念ながら、カードの発行は申請日から約1か月程度かかるということだったので今回の確定申告には、間に合いませんでしたが・・・。
確定申告 ー 医療控除の申告に領収書添付が不要に
その他に手続き上で変わったところとして、本年度から確定申告で医療控除を受ける際には、専用台帳に必要項目を記入するだけでOKとなり、従来のような領収書添付が不要になったんです。
これまた、手間が省けて楽になりました。
(但し、申請の根拠となるレシートや領収書は、税務署から提出を要求された場合は、それに対応しなければならないので、きっちり保管しておかなくてはいけませんよ)
新しいインターネットを使った税金申告のリスク
このように良いことばかりに見えるのですが、このような仕組みは、税金の算出をするためのデーターをきっちり隅から隅まで揃えることができて初めて可能となる訳ですから、裏返せば個人資産のデータが隅々までビッグデータとしてインターネットを介して保存されてしまう訳です。
勿論、収集されたデータにはセキュリティがかけられるとは思いますが、インターネットの世界では、世界一セキュリティが強固と言っても過言ではない米国の国防総省にハッキングし、サイバーテロを起こすといった事件も現実に起こっているので、情報漏洩が起るリスクは高いものがあると感じます。
■日本がキャッシュレス化を急ぐもう一つの理由
そして、実はさらにもう一つ、国がキャッシュレス決済を急がなければならない理由があります。
それは、GAFAによる世界制覇が始まっているという現実です。
GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取ったもので、どれも一度は耳にしたことがある企業だと思います。
これらのどの企業もAIに年間数百憶ドルを投資し、その勢いは世界の4強と呼ばれるまでになっています。
この脅威は、日本だけではなく、どの国においても同じ状況になっています。
Googleは、ネット検索ポータルの絶対的地位から今やGoogle検索で上位に自社のwebページが表示されるかどうかがプロフィットビジネスにおいて重要な必須ファクターになっています。
Appleは、哲学的なカラーを支持する熱心な莫大な数の顧客をベースに価格を下げないビジネスを可能としており、強固なブランドビジネスを展開しています。
Facebookは、今や大企業も参入するビジネスチャンスのインフラとして世界最大級のSNSとして成長し続けています。
Amazonは、利益を株の配当金として株主に還元せず、新規技術にすべて投資するスタイルをベースに、その莫大な資金力で世界一大きい小売店を実現しています。
これらの企業の動脈は、ずばりキャッシュレス化した社会から吸い上げる莫大な個人情報です。
個人情報を吸い上げることは、ネット上では簡単にできてしまいます。
まして資金力のある4強のような大企業では、人々が欲しがるサービスを極めて低価格若しくは無料で提供すれば良いだけです。
サービスを受けるためには、詳細な個人情報の提供がバーターになります。
GoogleドライブやAmazonプライムのように・・・。
■まとめ
これからの国や企業の生き残り戦略は、人々にいかに独自のキャシュレスシステムを活用してもらえるかということ無しではありえない時代になってきたということだと思います。
独自のキャッシュレスシステムをより多くの人々に利用させ、そこから個人データをはじめ様々なデータを吸い上げ、そのデータを基に人々にどのような嗜好やニーズがあるのかを分析して新たな消費商品を世の中に投入する。
こうして投入された消費商品が新たなプロフィットを生み独占する。
キャッシュレス化が進んでいる国々では、独自のデビットカードの利用率が高くなっているという理由は、この辺りにあるのかもしれませんね。