世界のキャシュレスは、デビットカードが標準に?!

■デビットカードは、世界で本当に標準か?

日本では、キャッシュレスと言えば、クレジットカードを連想する方も多いと思います。

でも、海外を見てみるとそれぞれの事情は異なりますが実は、デビットカードが高い使用率を示している国が多いです。

それでは、世界の先進国を中心に見ていきましょう。

イギリス

まずは、ヨーロッパの大御所イギリスです。

イギリスでは、元々小切手決済が普通に行われていた国と言うこともあり、時代が進み、小切手に類似した新サービスとして使われだしたのがデビットカードでした。

今では、小切手をいちいち切るより、カード会社のwebサイトで決済をすることが殆どのようです。

小切手文化の現代版といった感じでしょうか。

イギリスでは、銀行口座を開設したら、キャッシュカードにデビットカード機能が普通に付いてくるので、デビットカードの保有は、銀行口座を持っている人すべてといった感じになります。

アメリカ

次にカード大国アメリカを見てみると、アメリカは2007年のサブプライムローン問題までは、クレジットカード中心の社会でしたが、それ以降は、デビットカードに国が舵を切っています。

韓国

同じような事情でデビットカードの決済率を進めている国にお隣の韓国があります。韓国もアメリカ同様、クレジットカード大国です。

当初韓国社会における決済は、儒教の国なので”クレジットカード=借金=良くない行為”という文化を反映して現金決済中心でしたが、1997年のアジア通貨危機以降、韓国政府は、景気回復のために消費活性化策の一環として、年間給与所得者をターゲットにクレジットカード使用金額が年間給与所得の10%を超える場合、超過額の10%が課税所得から控除されるクレジットカード控除という制度を施行しました。

この制度に加え、さらに韓国では、クレジットカード利用控えに付けられた番号を宝くじの当選番号として、毎月1回抽選するという制度があります。

その額1等1億8千万円!!

これは、毎月のクレジットカード利用控えに枚数制限がなく1回の利用額も1000円以上であればOKだったこともあって、クレジットカードを利用する回数が多ければ多いほど当選確率は上がるという理屈なので、クレジットカードを国民の皆がこぞって利用しました。

このような状況から、韓国は現金主導国からわずか20年足らずでアジア屈指のキャシュレス大国となった訳です。

しかしながら、当時韓国は今の日本のような総裁量制の与信枠システムなどはなかったため、20代を中心にクレジットカードの自己破産が急増しました。

そこで急遽政府は、与信を10等級に分類(等級は増えるほど悪くなる)し、7等級以上の人にはクレジットカードを発行しないなど与信の引き締めを行いました。

その結果、韓国では韓国版デビットカードのチェックカードというものを推進し、既にクレジットカード推進政策でキャシュレス社会となった現在に対応しています。

中国

また、お隣の中国では、日本での中国人観光客ご用達の『銀嶺カード』の殆どはデビットカードです。

なぜ中国では『銀嶺カード』の殆どはデビットカードなのかと言いますと、個人を対象とした与信システムの整備が遅れていて、そのためクレジットカードの発行が進んでいないことから、2002年より中国人民銀行が中心となって銀行のキャシュカードにデビット機能を付けたんですね。

日本にあるJ-Debitのような感じです。

元々、中国では最高額紙幣が100元札(日本円にして約1500円)なので、電化製品の購入などで商品購入額が高額になった場合、お札が何枚も必要になります。

支払い時に、お金を確認しながら精算するので時間もかかり、札束を持って歩くのも、引ったくりなどに合う危険性があるなど、中国の人が結構不便を感じている所にデビット機能が付いた『銀嶺カード』が登場したので、一気に広まりました。

発行枚数は、なんと13億枚を超えます。

中国国内で利用できるお店も、銀聯カードが創設されて5年後には74万店という、当時中国でVISAやMasterCardといったブランドカードが使える店舗数の3倍以上となり、”中国=銀聯カード=デビットカード”というのが中国人決済のスタンダードになりました。

中国人の海外旅行においても銀聯カードは美味しいメリットがあります。

中国からの国外に持ち出せるお金は2万元までで、外貨はUSドルで5,000$相当という厳しい規制があるのですが、デビットカードを使いキャッシュレス決済をすることにより、この規制枠に囚われない買い物が可能になります。

日本の家電量販店などで、中国の旅行者が高額の商品をどんどん買っていただけるのも銀聯カードのおかげなんですね。

日本にとっても本当にありがたいカードです。

スウェーデン

その他では、キャッシュレス先進国であるスウェーデンでは、7歳以上の子供でも銀行口座に紐付けされたデビットカードが発行されていることから人口の約95%がデビットカードを保有しています。

ノルウェー

同様のキャッシュレス先進国ノルウェーでも、デビットカードの保有率は高く、さらに少額決済はこのデビットカードと紐付けされたVippsというP2P(個人間)決済サービスを利用する国民が殆どです。

(※Vippsは、クレジットカードと紐付けして利用している国民もいます)

その他、ロシア、オーストラリア、インドなどでもデビットカード決済は、自国民向けに非常に決済率が高くなっており、今後も引き続き支持されていく傾向を示しています。

まとめ

このように、現在の世界におけるキャッシュレス決済は、デビットカードが非常に重要な役割を担っています。

世界でデビッドカードがここまで広まった理由は、各国の事情で様々なものがあると思いますが、大きな理由としては2つあると思います。

1つは、海外では銀行口座を開く時にキャッシュカードに併せてデビットカードも発行することが普通に行われてきたという慣習的背景と、もう一つは、クレジットカードに必須の与信システム構築がなかなか進まないという事情があるというところだと思います。

日本は、全く逆の状況が見られ、銀行で口座を開く時は、キャッシュカードに併せてデビットカードを発行することはほとんどありませんでした。

また、日本の与信システムはかなりの精度で確立されており、給与所得者人口が多いこともあり、クレジットカードが広まっていきました。

これからの社会は、AIの仕事への参入やさらなるインターネットの進化に伴い、私たちの仕事そのものの在り方が急速に変化していく時代です。

特に日本は、これまで収入的に所得の高低はありますが、安定性という面ではそれなりに安定した仕事が得られていた時代だったと思います。

しかしながら、これからは収入の安定は、自ら職のマネージメントをして得る時代に変わりつつあります。

たとえ上場企業に新卒で入社できたとしても、入社後の戦略的マネージメントができないと40代に肩たたきが来ることも少なくないです。

そのような日本社会においては、安定収入を好むクレジットカードよりも使うとき時にお金があるかどうかで決まるデビットカードの属性のほうが時代にマッチしていくような気がします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする