キャッシュレス決済使用に個人の選択余地がなくなっていく社会

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■サラリーマン社会は、キャッシュレス必須?

キャッシュレス決済は、今や世界的な流れになっていますが、その兆しは20年前くらいからあったように思います。

それを感じたのは、私が当時、旧財閥系の上場企業でサラリーマン技術者として働いていた時の話ですが、入社して初めて社員証がリニューアルされたんですね。

そして、そのリニューアルはデザイン変更だけのイメージチェンジではなくてなんとクレジットカードのVISAが付いていたんです。

いわゆるコーポレートカードというやつで、出張の時は、全部このカードで支払いなさいということでした。

当時ではあまり耳にすることはなかったので、自分の写真付きのVISAマークが入っている社員証を出張先で使う度にどこか自分もできるビジネスマンになったような気がしていたのを思い出します。

今では、思い出すのも恥ずかしい話ですが・・・。

このコーポレートカードは、ビジネスカードと呼ばれて発行されているカード会社もありますが、通常は法人が使うものをコーポレートカード、個人事業者等が仕事で使うカードをビジネスカードということが多いようです。

ビジネスカードは、ホームセンターやガソリンスタンドで発行されているのをよく見かけますね。

コーポレートカードの裏機能

企業は、コーポレートカードを社員に持たせ、出張費など会社に関わる経費をすべてこのカード払いにすることにより、経費管理に手間もお金も大きく削減できるメリットがあります。

さらに、コポレートカードの決済方法は、会社決済と個人決済が導入時に選択できます。

私の勤めていた会社の場合は、個人決済だったので出張費は立て替えになるイメージです。

この個人決済は、実は企業側の隠れたメリットがあるんですね。

それは、与信です。

会社決済であれば、会社の信用でカードの使用可能枠が決定され、個人決済であれば個人の信用でカードの使用可能枠が決定されます。

これは何を意味するかというと、社員の社会的経済的信用をある一定の基準以上に線引きをすることができるということです。

要は、カードの与信枠が少ない場合、実際問題として出張に行くことができなくなるということが起り得るので、そのような社員は、実質的に会社に居られなくなります。

会社側としては、特に何をするわけでもなく、信用の高い社員のみを雇用する見えざる人事システムが機能する訳です。

実際にあった怖い話

これは、実際あった話なのですが、私の知り合いに、製造メーカーに勤めていた方がいたのですが、その方は、入社して10年目の時にとある事情で自己破産してしまいました。

自分自身の散財などの理由ではなかったので、会社の労働組合に相談して色々解決手段を教えてもらい、何とか免責を得て普通の生活に戻ることができたのですが、やはりその後遺症はあったそうです。

まず、給与の俸給見直しという、だいたい1年にこれくらい俸給が上がるという公務員的な賃金のベースアップがあるのですが、免責後から、ほとんど上がらなくなったそうです。

また、給与があまりに他の同僚と比べて低く、差が目立つので、事情を知らない気のいい上司からは”なぜ君だけそんなに給与が低いのか?おかしいなぁ?”と親身になって心配してくれたほどだったそうです。

勤めていた会社は、良くも悪くも社員は、出る杭は打たれるといった風土を持った企業プライドが高い会社だそうで、慣例、分相応といったことを重視する職場だったそうです。

彼は、”免責を認められたとは言え、自己破産した人間を出してしまったという会社側からすれば社会的信用に傷がついたということになるから、そのような人間は、要らないということなんだろうなぁ?”と言っていました。

それでも会社からは解雇もなく、この事実を知っているのは会社の人事部と労働組合、直属の課長以上の管理職だけだったので職場での人間関係に影響することなく、普通に仕事をしていたある日、会社からの見えざる自主退職への次の一手が来ることになりました。

それは、社員証が新しいものに変わるという特に何ということもないことから始まりました。

この社員証、クレジットカードと一体になっているというもので、手渡された時は、”社員証の顔写真の横にVISAのマークが入っていて、かっこいいな”程度の呑気なことしか思っていませんでした。

そして後日、出張へ行く場合の旅費精算について社内アナウンスがあり、”今後出張旅費精算は、すべてこのクレジットカードで行うので、切符から宿泊代に至るまで、このカードで現地清算して下さい。”とのこと。

そこまではよかったのですが、このクレジットカードの与信枠を見て愕然としたそうです。社員証にクレジットカードが付いているので、与信枠は一律いくらと決められているものと思っていたのですが、個人ごとに違っていたのです。

今回この会社が、新しく作った社員証のクレジット与信は、会社の与信ではなく、個人の与信を採用していたのです。

そして、その方の与信枠はショッピング5万円のみだったそうで、出張へ行く場合、実質的に費用が賄えない場合が出てくる金額でした。

そして、入社後15年目にして彼は退職しました。

■まとめ

このように、キャッシュレス決済は、お金の動きだけでなく人物査定も結果的にされる厳しい一面を持っています。

日頃からキャッシュレス決済の便利さのみを享受するだけではなく、怖い側面もあることを知っておく必要もありますね。

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